KDDIの新料金
2007-10-05 Fri 12:28
au by KDDI が、どうやら新しい料金体系を導入するらしい。巷のニュースでは、販売奨励金(インセンティブ)がなくなるとユーザーの買い替えサイクルが伸びるため、市場が減速するという点ばかり強調されているようだ。また、どこかのニュースでインタビューされたKDDIの担当者が、「携帯を長く使う人のために不公平感を是正した」と誇らしげな態度だったのも目につく。

筆者は、実はあまりこのニュースを快く思っていない。というか、まったく思っていない。携帯が安く買えなくなるからではない(インセンティブモデルも存続するのでそちらを選べばいいからである)。今回の問題は、実はもっと違うところにあるのではあるまいか!!

今回のKDDIの先手を打ったような料金新プランは、まさに総務省主導で競争原理のあり方を模索する「モバイルビジネス研究会」の報告書を受けての導入にような印象を持つ。さも「料金うんぬんはキャリアで決める範疇であり、政府にとやかく言われなくても、ほら、ちゃんとできるじゃん」みたいなタイミングのよさだ。KDDIも、これで課題だった奨励金制度について解決したようなしぐさである。ドコモもそれに続くという話らしいが。

しかし、そもそもこの新料金プランは、ユーザーやMVNOのために解決したことになるのだろうか?筆者が一番不思議に思ったのは、携帯電話を適正小売価格で購入して安く使う新プランにおいて、なんで基本料金だけでなく通話料金も変わるのかである。

本来なら6万円程度する携帯を2万弱で購入し、残りを月々の支払いの中から回収されるというシステムはわかるが、それならば基本料金だけが高くなればいい話ではないか。そもそも「通話」という行為によって通信インフラを使用する金額そのものと、携帯電話機の金額はまったく次元の違う話であり、1分間いくらで加算される通話料が携帯電話機の一括購入もしくは割賦で購入するとで違うというのはまったく納得がいかない。

その背景にある問題は、まさしく携帯電話機の価格とそれ以外の料金をきちんと整理して分離していないことに端を発する。6万円の携帯電話機を2万円で買えば、4万円ほどを2年間で回収されるというのは納得がいく。そのために、月々3400円程度?(利息込?)を基本料金に上積みされるのは致し方あるまい。なのに新プランの登場後では何が変わったのか? 結局、旧来の報奨金制度を使ったプランでは、いくら分が基本料金で上積みされたかも定かではなく、だからだろうが、通話料もお高いときている。KDDI側は、仮に奨励金制度で携帯を購入しても、2年間を目安に新プランと同等の料金に引き下げるといっているが、その根拠となる適正な携帯電話機の価格がユーザー側に見えない。新プランを導入したのなら、旧来の奨励金を使ったプランでも、通話料は一緒にすべきではないか!!

仮に1つのシナリオを考えてみる。販売奨励金を使って同じ携帯電話機を買って同じ料金体系を選んだAさんとBさんがいるとする。Aさんはライトユーザーであり、あまり携帯を使わない。一方、Bさんは携帯でブログも書くわ、写真も送るわ、年中しゃべるわ・・だとすれば、2年後に二人とも新プランに移行した時、この二人の間に果たして不公平感は存在しないのであろうか。筆者には、「不公平感をなくす」と叫んでいたKDDIが嘘をついているようしかみえない。

筆者は思う。KDDIは本来なら業界のチャレンジャーとして当然しなければならない「携帯電話機の値段」と「その他通話料」の完全かつ透明な料金の分離をせず、形だけの奨励金撤廃プランを登場させ、あたかもこれで業界の自浄能力があるのだと謳ったにすぎない。そもそも、分離プランが最初にあって、そのあとで、しかるべき新プランに移行すべきではあるまいか。なのにそうしなかったのは、実は販売奨励金制度を存続したかったのではあるまいか・・・。

考えてみると納得する。キャリア大手3社で最も旧来の奨励金制度を温存したいと考えるのは、KDDIにほかならない。なぜなら、KDDIは他社のシェアをもっとも奪取しているからだ。そもそも販売奨励金制度というのは、携帯を持ったことのない人たちに「0円携帯」を配って市場を拡大させる制度であり、これ自体は日本を携帯先進国に引き上げたという点において評価されるべきであろう。

しかし、日本の携帯市場が飽和しつつある現在では、市場のパイを拡大させるというマーケティングはもはや通用しない。キャリア各社において加入者の月次純増数の多くは他社からの転入者、つまりすでに他社の携帯保有者であろう。するとマーケティング的には、市場のパイを大きくするミックスから他社のシェアを奪うためのミックスを考えるはずであり、ドコモなどは既存ユーザーを囲い込むために躍起になっている。ドコモにとって、携帯市場は飽和したのである。ところが右肩上がりでシェアを増加させているKDDIにとっては、携帯(の自分の)市場はまだ成長しているのだ。販売奨励金がなくなってしまうと、他のキャリアのユーザーが自分のところに来てくれなくなるのではないか? そういう疑念を持ってもおかしくはない(穿った見方か・・・)。

KDDIと言えば、音楽配信を先駆けてシェアを拡大し、それ以降もGoogle検索を導入したり、ワンセグ機を大量投入するなど、王者ドコモが消極的な守りに入っているなかで常に果敢に戦略を打ち出してきた。筆者はそんなKDDIが好きである。しかし、今回の料金新プランだけは、これまでのチャレンジ精神とはちょっと違ってガッカリした。ソフトバンクモバイルの割賦制度のほうがよっぽどユーザー指向ではあるまいか。

と、ここまで書いては来たものの、実は筆者は、KDDIの新たな料金体系を熟知しているわけではない。できれば今回の発言が、私の勘違いで終わってほしいものである。まあ、とりあえず、追従すると言っているドコモも見てみることにしたい。

Const326
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